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商標出願の審査段階において予め拒絶理由を通知した事由であっても、その事由を拒絶決定において拒絶理由としない場合、拒絶決定に対する審判手続においてこれを審決の理由とするためには、再度その事由に対して拒絶理由を通知しなければならないとの大法院の判決(2017フ1779)

弁理士 鄭 錫鳥

1. 事件の概要
(1) 特許審判院の審決(2017年2月23日)
ア. 本件出願商標ANDRE(国際登録第1224532号)は先登録商標1乃至11に類似して登録を受けることができないとの仮拒絶理由に対し、原告は、「先登録商標6」により拒絶された「computerized file management」を削除するとともに、先登録商標と本件出願商標は標章が類似しないとの意見書を提出したが、特許庁は、先登録商標1乃至5、7乃至11に類似するとの理由で本件出願商標を拒絶決定した。

イ. 原告は、2016年4月22日付にて拒絶決定不服審判を請求し、先登録商標1乃至5、7乃至11の指定商品(サービス業)に抵触する本件出願商標の指定商品(サービス業)を全て削除する補正を行ったが、当該補正書には、「computerized file management」が含まれていた。

その後、原告は特許審判院に対して、「補正書に『computerized file management』が含まれているのは錯誤によるものであるので、これを除くことで主張を訂正する。」旨の意見書を提出した。特許審判院は原告に先登録商標6に関する拒絶理由を予め通知しないまま、本件出願商標の「computerized file management」は先登録商標6の指定サービス業に類似するとの理由で審判請求を棄却した。

(2) 特許法院の判決(2017年7月6日)
本件出願商標は先登録商標と対比して標章と指定商品が類似するとの仮拒絶通知をした事実があるから、特許審判院が本件拒絶決定が妥当であると判断した根拠である「本件出願商標は先登録商標6と標章と指定商品が類似する」との事由は、原告に対して実質的に意見書提出及び補正の機会が付与された事由に該当するというべきである。

したがって、意見書提出機会未付与等の手続上の違法を理由に審決の取り消しを求める原告の請求を棄却する。

2. 大法院の判決(2020年11月12日)
ア. 審査段階において本件出願商標の「computerized file management」が先登録商標6のサービス業に類似するとの拒絶理由に対して意見提出の機会が与えられたとしても、その後、原告が先登録商標6に抵触する「computerized file management」を削除する補正を行ったことにより、拒絶決定当時に先登録商標6に係る拒絶理由が既に解消され、特許庁は先登録商標6を拒絶決定の理由としなかった。

イ. 原告もこれを拒絶決定不服審判請求の理由としなかった以上、特許審判院が、「本件出願商標の『computerized file management』が先登録商標6と同一・類似して旧商標法第7条第1項第7号に該当する。」という点を、審判請求を棄却する審決の理由とするためには、旧商標法第81条、第23条により審判段階においてこれに対して再度拒絶理由を通知して意見書提出及び補正の機会を与えなければならない。

ウ. したがって、意見提出の機会を付与しないまま、拒絶決定の理由と異なる拒絶理由を根拠に審判請求を棄却した特許審判院の審決に手続的違法がないと判断した特許法院の判決は、法理を誤解した誤りがある。

3. 大法院の判決の意味
審査段階において仮拒絶通知書の拒絶理由が拒絶決定当時に解消され、拒絶決定に言及されていなかった同一の拒絶理由が審判請求の段階において復活する場合には、既に請求人に対して実質的に意見書提出及び補正の機会が付与された事由と排斥してはならず、特許審判院は、意見書提出及び補正の機会を付与する仮拒絶通知書を請求権者に対して通知する手続を経た後に審決をすべきであり、特許庁審査官は、拒絶理由通知書にあった拒絶理由であったとしても、拒絶決定書に明示されていないものは、審判では新たな拒絶理由となるので、拒絶決定書に全ての拒絶理由を分明に記載すべきである。
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