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人工知能は発明者になれるか

韓国をはじめとする米国・欧州・英国等の主要国の特許庁や裁判所は特許法や判例を通じて発明者として自然人のみを認め、人工知能は認めていない。ところが、人工知能を発明者として記載した特許出願があり、該特許出願の出願進行現況を紹介したい。

1. 韓国における事件進行経過
米国の人工知能開発者スティーブン・ターラー氏(出願人)が「DABUS」と称する人工知能を発明者として表示し、2019年9月17日に国際特許出願(PCT/IB2019/057809)をした。韓国への移行手続は2020年3月12日に行われた。
本件発明は、食品容器(以下「第一発明」という)および改善された注意を引くための神経刺激ランプ(以下「第二発明」という)」に係るものである。
第一発明は、容器の内外部に凹部と凸部を有するフラクタル構造の食品容器で、容器の結合が容易で、高い熱伝達効率と握りやすさという効果を有する。第二発明は、神経動作パターンを模倣して目立つ点滅光を発するランプで、ランプの動作パターンで関心集中を改善するという効果を有する。
韓国特許庁は2022年2月、該特許出願について「人工知能(AI)を発明者としたものを自然人に修正されたい」との補正要求書を通知した。これに対して、出願人はこの発明に関する知識がなく、自身が開発したDABUS(Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience)が一般的な知識を学習後に食品容器など二つの異なる発明を自ら創作したと主張した。
出願人が補正要求に応じなかったため、人工知能は自然人でないゆえ発明者になり得ないとし、2022年9月28日付で出願無効の処分をした。
人工知能を発明者として記載した特許出願を無効処分した決定に対して、出願人は人工知能も発明者になり得ると主張し行政訴訟を提起した(2022年12月20日)。

2. 主要国における出願進行現況
ドイツ連邦特許裁判所では2022年3月、自然人のみ発明者として認めるが、発明者を記載する際に人工知能に関する情報をあわせて記載することまでは許容するとの判決を下した。例えば、ドイツでは、発明者の欄に「人工知能DABUSを活用して発明したスティーブン・ターラー」と記載することは可能である。
英国・ドイツ・米国では、DABUS特許出願が最高裁に係属中だ。
欧州(EPO)では、AIは人でないため願書に発明者として記載できず、AIは発明者として不認定となった。オーストラリアでは、人工知能を発明者として認める連邦一審裁判所判決があったが、控訴審と最高裁で人工知能を発明者として認めないとした。

3. 今後の展望
人工知能を発明者として認めない処分に対して不服を申し立てる訴訟は、米国・欧州・ドイツ・英国・オーストラリア等の知的財産分野の主要国に続き、アジアでは初めて韓国で提起され、その不服訴訟の帰趨が注目されている。
主要国等は、まだ人間の介入なしに人工知能単独で発明をする技術水準には到達していないとの意見を持っており、今後国別に当該国の特許庁と最高裁判決について協議しながら国際的調和に向けて協力することで合意した。
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