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結晶形発明の進歩性が問題となった事件(2019フ11800)

医薬化合物の製剤設計のために、その化合物が種々の結晶形態、すなわち結晶多形(polymorph)を有するか等を検討する結晶多形スクリーニング(polymorph screening)は、通常行われることである。医薬化合物分野において、先行発明に公知となった化合物と化学構造は同じであるが結晶形態が異なる特定の結晶形の化合物を特許請求の範囲とする、いわゆる結晶形発明の進歩性を判断する際には、こうした特殊性を考慮する必要がある。だが、それだけで結晶形発明の構成の困難性が否定されるとは断定できない。なぜなら、結晶多形スクリーニングが通常行われる実験であることと、これによって結晶形発明の特定の結晶形に容易に到達できるかどうかとは別問題だからである。

本件事実関係
本件出願発明の特許請求の範囲の請求項1(以下「本件第1項発明」という)は、粉末X線回折スペクトルを行ったとき、少なくとも回折角2θ:9.4度、9.8度、17.2度及び19.4度に回折ピークを示す2-{4-[N-(5,6-ジフェニルピラジン-2-イル)-N-イソプロピルアミノ]ブチルオキシ}-N-(メチルスルホニル)アセトアミド(以下「セレキシパグ」という)の第I型結晶形に関するものであり、先行発明の実施例84には、セレキシパグが開示されている。ただし、先行発明にはセレキシパグ結晶の存在の有無については記載されていないという点で本件件第1項発明と差異がある。

原審の判断
原審は、通常の技術者が先行発明に基づき本件第1項発明の結晶を有効成分として含有する本件第4項発明を容易に発明することができるから、進歩性が否定され特許を受けることができないとの理由で、本件第4項発明をはじめとする本件出願発明は特許を受けることができないと判断した。

大法院の判断
大法院は、先行発明に開示されたセレキシパグ化合物と本件第1項発明で請求する第I型結晶形は、それぞれの形態を導き出すための出発物質はもちろんのこと、溶媒、温度、時間等の具体的な結晶化工程変数が異なるが、被告が提出した出願当時の通常の結晶多形スクリーニング方法に関する資料だけでは、通常の技術者が結晶化工程変数を適宜調整したり、通常の結晶多形スクリーニングによって先行発明から上記のような特性を有する第I型結晶形を容易に導き出すことができるか分明でなく、先行発明には、粒子径、残留溶媒量、再結晶における不純物除去効果、安定性等に関連して第III型結晶形水準の効果を奏するセレキシパグの結晶形すら公知となっていないという点を考慮すれば、被告が提出した出願当時の通常の結晶多形スクリーニング方法に関する資料だけでは、通常の技術者が結晶化工程変数を適宜調整したり、通常の結晶多形スクリーニングによって先行発明から本件第1項発明を容易に導き出すことができるか分明でないとの理由で、先行発明に基づき本件第1項発明の進歩性が否定されるとは断定できないとみて、これとは異なる判断をした原審を破棄・差し戻した。

大法院判断の意義
結晶形発明の進歩性の有無を判断するにあたって、事後的考察を排除し、先行発明に当該結晶形に至りうる示唆や動機等があったか、当該特定の結晶形が予測できない有利な効果を有するか等を客観的な資料を基に把握し、構成の困難性や効果の顕著性を判断しなければならないことを確認したという点で意義がある。


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